ペコリーノ・ロマーノDOPの歴史

ペコリーノ・ロマーノDOPは非常に古い歴史を持つチーズです。
原型はローマ帝国時代、全人口の糧となった羊乳チーズです。

保存性に優れ人間の活動に必要な栄養素を豊富に備えていることから、二千年前には理想的な兵糧としてローマ軍兵士たちに配給されたと言われています。

また、この時代、羊乳チーズは兵隊を養うだけでなく、貴族の宴席を演出し、市民の贅沢品となって全階級の人々の食生活に関わりました。
ウェルギリウス、ウァロ、ガレノス、ガイウス・プリニウス・セクンドゥスなど当時の著名な学者たちの書物の中でも詳細が語られています。そして、そこに記された製造方法や栄養素は、現在私たちが知っているものとほとんど変わりません。

したがって、ペコリーノ・ロマーノがローマ近郊で誕生したことはほぼ間違いありません。その製造方法が地域を越え、トスカーナ州南部とサルデーニャ島へ伝えられたのは19世紀末以降と言われています。

古代からチーズづくりの伝統を持つサルデーニャ島では、19世紀以降、数多くのチーズ製造・熟成工場が整えられ、今日のペコリーノ・ロマーノDOPの最大生産地へと発展しました。

ローマ帝国時代から21世紀まで、羊乳チーズの製造過程はほとんど変わらず、ただ生産現場にのみ進化がもたらされました。現在のチーズ工場は最先端の技術を取り入れ、衛生管理基準に適合した製造方法で運営されています。

ペコリーノ・ロマーノDOPの製造

ペコリーノ・ロマーノはEUが認証する保護原産地呼称(DOP)チーズの一つであり、イタリア内外で最も高く評価されているものの一つです。

ペコリーノ・ロマーノの製造期間は10月〜翌年7月です。
産地で搾乳された羊乳は、搾りたての状態でチーズ工場に移送されます。

次に、羊乳は大鍋に乳酸菌を加えて温められます。乳酸菌もこの地域で飼育された子羊の体内から採取されたものを使用します。最終製品であるチーズの中に地域の特性がさらに保持されることになります。

レンネットもまた地域内で飼育された子羊から採取されたものを使用します。凝固が確認されると、カードは素早く粉砕、加熱され、ブロックに分けて型入れします。最終工程として、専門職人にる塩の擦り込みが行われ、チーズの表皮にブランドマーク(ひし形の羊頭)、製造年月日などが刻印されます。
 チーズは5か月の熟成を経てテーブルチーズとして食べられる状態になりますが、すりおろして使用するためには、最低8か月の熟成が必要です。

チーズが成熟する間にラクトース(乳糖)に変化が生じます。そのためペコリーノ・ロマーノDOPは、世界的に需要が高まっているラクトースフリー製品として、アレルギーやラクトース不耐性を持つ人々の需要に適しています。

「ペコリーノ・ロマーノDOP!」

このチーズは熟成された旨味と独特の風味が特徴的で、様々な料理に使うことができます。風味は力強いものの、後味はすっきりとしており、重さを感じさせません。
偉大な歴史を持ち、栄養と保存性に富んだチーズとして、高い汎用性を誇ります。まさに現代人のニーズに合ったチーズです。

ペコリーノ・ロマーノDOP